岸田総理による解散によって、衆議院議員選挙が行われるが実際は任期満了による衆議院議員選挙である。前回の衆議院議員選挙で自民党は、単独で過半数を上回り公明党と合わせて絶対多数となり、参議院と併せて安定政権を築いた。安部政権であった。経済的にはアベノミクス、外交では集団的自衛権と、新自由主義と憲法の実質的改訂とを掲げた政策が国民の支持を得た形だったが、これは小選挙区制のしからしめるところで得票数を分析すると必ずしもそうとも言えなかった。選挙制度をここで議論するのは適当でない。しかしここ二年近く新型コロナが世界的に流行して人類の生活を一変させる出来事が起こり、世界はこれに対して充分な対応が出来ていない。当然ながら日本もコロナ禍に巻き込まれ、その対応に苦慮する羽目に陥りその最中に衆議院議員選挙を迎えることとなった。コロナ禍は人の命に関わるもので国民にとっては最大の関心事になる。従って今度の総選挙は第一にコロナに対する政策の評価と、今後の対応、第二に安部政権と菅政権の自民党政権がこの四年間の実績に対する評価。岸田政権の選挙公約が問われることになり、野党は政権になかったので四年間の議会活動の成果と選挙公約が総選挙での国民の判断に委ねられる。与党は絶対安定多数に胡坐をかいて多くの不祥事を引き起こして国民の批判にさらされてきた。
先ずこの四年間の自民党公明党の与党の実績を考える。アベノミクスへの評価である。第一の矢と第二の矢である金融政策と財政政策については色々な評価がある。政府与党と国民の一部には成功であったという見方もある。労働需給の安定や一部企業の成長、物価も安定(2%物価引き上げは今も実現できない。デフレ脱却は実現出来ない)など一定の成果が上がっている。しかしながら経済成長率は先進国最低、実質賃金は下降の一途、GDP世界3位も危ない、不正規労働者の増加等国民間の格差拡大等負の部分も少なくない。人口減少の歯止めがかからないなど大きな課題を抱えている。中国の台頭等世界の政治情勢の激変に日米安保条約に縋り付くなど変化に対応出来ず日本を危険にさらされている。コロナ対応は後手後手に回り私から見れば失政である。野党は小選挙区制での乱立が祟って二大政党にならず万年野党に甘んじている。党首はじめ指導者に魅力が欠け、政策的に与党を凌ぐ魅力に乏しい。この状況下で自民党は過半数を獲得できるかの総選挙では代り映えがしない。日本が変わり夢と希望のある社会になるには政権交代が必要である。そのためには政情混乱や不安定は生みの苦しみとして甘受すべきものと考える。今の制度の下国民がどのような審判を下すか日本の将来を占う総選挙である。