このところの円高はとまらない。
今のところ76円でいききしているが、今後どうなるのであろう。
人によると73円台になる可能性も指摘されている。
世界的にというより先進国では景気停滞気味であり、各国の財政問題などもあり、日本の円高に対して協調介入の動きはない。
先日政府は単独介入したが、すぐ元の木阿弥になってしまった。
政府・日銀が買ったドルはどうなるのであろうか。
ドルが増えただけで使い道もないのであろうか、アメリカ国債を買うのであろうか。
将来的に価値低落傾向にあるアメリカ国債を大量に保有してどうなるのであろうか。
さて日本中は円高になって朝野をあげて危機が叫ばれている。
円高メリットについては経済の本質とは関係のうすい海外旅行の恩恵が主に報道されている。
今のマスコミは意識的か否かは知らないが、本質を見誤り国民の意識をまちがった方向に誘導しているように見えてしかたがない。
民主党政権が出来る前後も円高の危機が叫ばれた。
日本は産業構造上輸出産業が経済を引っ張る形になっていた。
低成長ながらも経済は輸出産業に依存してきた。
これは何十年にわたって続いたもので、それを誘導したのは自民党政権である。
間違った政策ではなかったが、おかしくなったとき転換する政策を打ち出せなかった。
民主党は今後国内需要向けの産業を振興し輸出への依存度を減らしていくという目標を掲げた。
これについては当時方向性として妥当であるとマスコミも報じていた筈である。
産業構造の転換は時間がかかり,すぐには実現しない。
しかし最近産業構造の転換の議論はあまりおめにかからない。
民主党はどうなってしまったのか。
今後とも産業構造の転換には目をつむり輸出に我が国の経済を委ねるつもりなのか。
原子力発電や新幹線、高速道路の技術を輸出することは結構なことである。
技術の輸出に力を入れることは正しい。
しかし、長期的には産業構造を変えていく努力は必要なことである。
今の円高は先進国の経済財政問題に端を発しており、日本が優れているからではない。
値段は相対的なものであり他が悪くなればこちらが良くなる。
しかし、実態経済からみればこちらが良くなった訳ではない。
資本主義も発展というか行き過ぎて実態経済よりも投機経済が経済を支配し、実態経済はそれに振り回されている、悪影響を及ぼしている構図になっている。
リーマンショック以降ゆきすぎた投資に対し先進諸国は何らかの規制をするという動きになった。
しかし、実現不可能なのか、最近聞いたことがない。
これからもこの投機経済は続くであろう。
日本の実態経済の力とは何の関係もなくこれからも株や円の価格はうごくであろう。
投資家はどこが儲かるかだけで資金を動かす。
勿論実態経済の状況も行動の参考にはするが結局は思惑で売ったり買ったりするのである。
アダム・スミスの「見えざる手」は問題はあっても実態経済で当てはまる考えである。
しかし、投機経済では予定調和的に経済が発展するどころかバブルなど経済を破滅させることになるのでわないか。
デフレ経済についてはあとに譲るとして、アメリカも日本も資金の量的緩和を客家っているが、ゼロ金利政策が続くなか中央銀行のやることは殆どない。
インフレにでもする積りなのであろうか。
貨幣を沢山印刷しても、金あまりの状況では何ら実態経済の成長には資することなく、いたずらに投資家の資金を増やすだけで経済はますます悪くなるのではないか。
野田財務相はなんの効果もなかったドル買いをし口をあければ注意深く見守ると言っている。
そんなことなら私でも出来る。
あとは増税とマニフェストの見直しそれに大連立とんでもない総理候補というほかない。
私は円高に対して打つ手はないと思っている。
早急に産業構造の転換をはかるしかない。
そして世界に冠たる技術力の発展に人的にも資金的にも惜しまず投資すべきである。
時間はかかる地道である、しかし、日本の将来を考えればそれより道はない。
それからもうひとつ今の投機経済に我が国だけでも規制が加えられないものか。
実態経済と投機経済はバランスをとって発展すべきで、投機経済のみモンスターのように巨大化すればいつかの時点で破綻し、金本位制に戻るか紙キレになるかの選択になるのではないか。
円高は成り行きに任せ、円高メリットをどのように実態経済に役立て・地道に構造転換を図るしかない。
マスコミはいたずらに円高の危機を声だかにとなえてはならない。